24-LifeDesign ファイナンシャルプランナー あくのえふぴーです。
前回まで数回に分けて「医療保険・労働保険」について解説してきました。
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今回からは「公的年金」について解説していきたいと思います。
老後の生活設計をプランニングする上で、「公的年金」の知識は必須です。
死亡保障(遺族年金)や、病気・怪我による障害(障害年金)などにも対応しているので、ライフプランニングにおいて「リスクマネジメント」としても欠かせない知識です。
それではいきましょう!
公的年金制度の体系
現在の公的年金制度は、20歳以上の全国民に共通した国民年金(基礎年金)の1階部分をベースに、
2階部分は、報酬比例部分の年金である厚生年金保険が上乗せされた2階建てになっています。
図表
(日本年金機構HP参照)
年金制度の種類
公的年金制度には、全国民共通の「国民年金」、民間の会社員、国家公務員や地方公務員、私立学校教職員を対象とした「厚生年金保険」があります。
「厚生年金保険」を被用者保険といいます。
国民年金(基礎年金)
国民年金は、公的年金のベースになるもので、日本国内に住所を有する20歳以上60歳未満の者が加入を義務付けられています。
加入者は被保険者といい、自営業者などの「第1号被保険者」、
会社員などの「第2号被保険者」、
第2号被保険者の被扶養配偶者である「第3号被保険者」に分かれています。
65歳からは老齢基礎年金が支給されます。
厚生年金保険
原則として、厚生年金保険の適用事業所に雇用されている70歳未満の会社員、公務員、私立学校教職員などの被用者が全員加入し、被保険者となります。
老齢基礎年金に上乗せした報酬比例部分の年金である老齢厚生年金が支給されます。
年金給付の種類
公的年金の給付には、「老齢給付」「障害給付」「遺族給付」の3つがあります。
これらは年金の制度によって名称が変わります。
また、「障害給付」「遺族給付」には、年金以外に「障害手当金」「寡婦年金」「死亡一時金」などがあります。
国民年金 | 厚生年金保険 | |
老齢給付 | 老齢基礎年金 | 老齢厚生年金 |
障害給付 | 障害基礎年金 | 障害厚生年金 |
遺族給付 | 遺族基礎年金
寡婦年金 |
遺族厚生年金 |
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国民年金の加入者と保険料
国民年金が昭和61年4月から国民共通の「基礎年金」制度に変わったことで、自営業者や被用者年金の被保険者とその被扶養配偶者も国民年金の被保険者となりました。
つまり、日本国内に住所を有する20歳以上60歳未満の人はすべて国民年金の被保険者です。
国民年金の被保険者は、給付や保険料負担などの違いによって3種類に分かれます。
国民年金および厚生年金の保険料は、次の通りです。
第1号被保険者(自営業者・農業者・学生など)
第1号被保険者は、日本国内に住所を有する20歳以上60歳未満の人で、自営業者、農業者、学生と、それぞれの配偶者などが対象になります。
原則、強制加入で、受給できる老齢年金は老齢基礎年金です。
保険料は全員一律で、月額16,340円(現在価格)です。
毎月の保険料の納付期限は原則として翌月末日までとなり、納付期限から2年を過ぎると時効となり、原則として保険料を納付できなくなります。
平成31年4月以降、第1号被保険者はの産前産後期間の国民年金保険料が免除され、免除期間は保険料納付済み期間とみなされます。
第2号被保険者(民間の会社員・公務員)
厚生年金保険の被保険者は、同時に国民年金の第2号被保険者でもあります。
第2号被保険者は、20歳以上60歳未満といった年齢要件はありませんが、老齢年金の受給権を有する65歳以上の人は対象外となります。
なお、第2号被保険者の国民年金の保険料は、厚生年金保険の制度から国民年金に拠出しており、受給できる老齢年金は、「老齢基礎年金+老齢厚生年金」になります。
保険料は、健康保険と同様に総報酬制が導入され、事業者からの届出に基づいて決定される標準報酬月額や標準賞与額に、一定の保険料率を掛けて計算され、事業主と被保険者が折半で負担します。
なお、第1号被保険者と同じく産前産後休業期間中のほかに育児休業期間中の被保険者は、休業の間、本人負担分・事業主負担分の保険料が免除されます。
免除された期間については、第1号被保険者と同じく保険料を納付した期間として取り扱われます。
第3号被保険者(専業主婦など)
第3号被保険者とは、会社員や公務員など第2号被保険者の被扶養配偶者で、20歳以上60歳未満の人です。
第3号被保険者の保険料は、配偶者の厚生年金保険など被用者年金制度から拠出されるため、国民年金の保険料を直接支払うことはありません。
受給できる老齢年金は、老齢基礎年金です。
なお第3号被保険者の届出は、事業主から日本年金機構に届け出ることになっています。
3種類の被保険者を表にまとめるとこのようになります。
第1号被保険者 | 第2号被保険者 | 第3号被保険者 | |
対象者 | 自営業者、学生、
無職のひとなど |
会社員や公務員
(厚生年金保険や共済年金の加入者) |
第2号被保険者の
被扶養配偶者 |
年齢要件 | 20歳以上
60歳未満 |
なし
(ただし、老齢年金の受給権者となった場合には第2号被保険者の資格を失う) |
20歳以上
60歳未満 |
国内住居案件 | あり | なし | なし |
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被保険者の種別変更
職業が変わったり、結婚をすると、国民年金の被保険者の種別が変更される場合があり、その際には届出が必要です。
例えば、第3号被保険者の届出は、事業主経由で届出されますから、自身で届出をする必要はありませんが、夫が会社員から自営業者として独立したり、定年退職をしたケースなどでは、妻は第3号被保険者から第1号被保険者への種別変更の手続きが、各自で必要です。
任意加入被保険者(国民年金の任意加入)
国民年金への加入は、20歳以上60歳未満が原則ですが、老齢基礎年金の受給資格のない人(受給資格期間が原則10年に満たない人)や、資格はあっても年金が満額支給できないため、年金額を増やしたい人は、65歳になるまで任意で加入することができます。
また、日本国籍があって日本に住所がない人なども、希望すれば市町村に申し出て国民年金に任意加入できます。
なお、昭和40年4月1日以前に生まれた人で、任意加入しても65歳までに老齢基礎年金の受給資格に満たない人は、受給権取得まで、さらに70歳に達するまで任意加入することができ、
これを「特例任意加入」といいます。
まとめ:公的年金の全体像を把握しよう
今回のお話はいかがだったでしょうか?
FP試験に公的年金について、3,4問程度出題されますので、ポイントを解説していきたいと思います。
・出題のポイント
①基礎年金の被保険者は20歳以上60歳未満である
②2階部分の厚生年金保険の年齢要件は「ない」ので、
例えば18歳でも厚生年金保険の適用事業所で雇用されている場合、加入できる
③国籍要件は問わないので、日本に住んでいる外国人も対象
日本にいる上で、切っても切れない「公的年金」のお話でした。
次回以降は「基礎年金」「厚生年金」「障害・遺族年金」にわけてお話していきたいと思います。
次回はこちらからどうぞ
公的年金:老齢基礎年金の解説【FP試験の独学勉強法】公的年金の1階部分である、老齢基礎年金について、解説していきたいと思います。
それでは! あくのえふぴー
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