公的年金:老齢厚生年金の解説【FP試験の独学勉強法】

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FP3級のFP試験での公的年金 老齢厚生年金の解説
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24-LifeDesign ファイナンシャルプランナー あくのえふぴーです。

 

前回は公的年金シリーズ「老齢基礎年金」について解説してきました。

 

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今回は公的年金制度の2階部分である「老齢厚生年金」について解説していきたいと思います。

 

前回からお話している「公的年金制度」はたいへん複雑な制度になっています。

老齢基礎年金」「老齢厚生年金」「障害・遺族年金」それぞれの基礎から解説していきたいと思います。

 

それではいきましょう!

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老齢厚生年金とは

会社員なので厚生年金保険に加入していた人は、原則として65歳から老齢厚生年金を受給できます。

ここでは、「老齢厚生年金の受給要件」、60歳から64歳までの「特別支給の老齢厚生年金」、老齢厚生年金の「定額部分」と「報酬比例部分」、これらに分けてお話していきたいと思います。

 

老齢厚生年金の受給要件

老齢厚生年金は、老齢基礎年金の受給資格期間10年以上を満たす65歳以上の人で、厚生年金保険の被保険者期間が1ヶ月以上ある人は、65歳から原則支給の老齢厚生年金を受給できます。

 

特別支給の老齢厚生年金

老齢基礎年金の受給資格期間が10年以上を満たす60歳以上の人で、厚生年金保険の被保険者期間が1年以上ある人は、生年月日に応じて一定の支給開始年齢に達すると、「特別支給の老齢厚生年金」が受給できます。

 

特別支給の老齢厚生年金の生年月日別早見表

障害年金サポートサービスHP参照)

 

特別支給の老齢厚生年金は、定額部分と報酬比例部分で構成されています。

この図のように、特別支給の老齢厚生年金のうち、定額部分の支給開始年齢が引き上げられ、ついで、報酬比例部分の支給開始年齢が引き上げられ、最終的に昭和36年4月2日以降の生まれの男性は、65歳から本来の老齢厚生年金が支給されるようになります。

 

注:女性は、男性と比べ5年遅れの引き上げスケジュールになります。

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老齢厚生年金の年金額

①特別支給の老齢厚生年金」と、65歳からの「②老齢厚生年金」の年金額の計算のしくみを解説していきたいと思います。

年金額は、原則として賃金や物価の変動に合わせて改定されます。

今後は、給付水準を調整するしくみとして、賃金や物価の変動に加え、年金加入者の減少率と平均寿命の伸び率を毎年の年金額に反映させるマクロ経済スライドが適用されます。

 

①特別支給の老齢厚生年金の年金額計算

定額部分の計算

特別支給の老齢厚生年金の定額部分とは、65歳以降の老齢基礎年金(1階の年金部分)に相当する部分です。

 

定額部分が支給されるのは、昭和24年4月1日までに生まれた人です。

定額部分の額は、原則として次の計算式で算出され、被保険者期間月数は、480月(40年)を上限(昭和21年4月2日以降生まれの人の場合。それ以前は生年月日に応じて上限が異なります。)とします。

 

・定額部分の計算式

定額部分=1,630円×改定率×1.000×被保険者期間月数

注:式の1.000は昭和21年4月2日以降生まれの乗率です。乗率は生年月日に応じて読み替えます。

報酬比例部分の計算

報酬比例部分の年金額の計算は、2階部分の年金である65歳以降に支給される老齢厚生年金の計算と同じです。

 

報酬比例部分の計算には、「平均標準報酬月額」と「平均標準報酬額」で、平成15年3月以前と4月以後の被保険者期間に分けて計算します。

被保険者期間に上限はなく、実際に加入していた期間で計算します。

 

 

・報酬比例部分の計算式

報酬比例部分の年金額計算式

日本年金機構HP参照)

・定額部分の単価と報酬比例部分の乗率については日本年金機構HP(年金額の計算に用いる数値)のページにあります。

 

②老齢厚生年金の年金額計算

65歳からは、特別支給の老齢厚生年金の報酬比例部分が「老齢厚生年金」、定額部分が「老齢基礎年金」として支給されます。

 

ただし、65歳からの老齢基礎年金は、定額部分よりも当面低い金額となるため、その減少額を補填する目的で「経過的加算」という調整が行われます。

65歳から支給される老齢厚生年金額は、特別支給の老齢厚生年金の報酬比例部分と同じです。

 

報酬比例部分と加給年金額の計算

報酬比例部分の計算式や加給年金額(後述します)は、特別支給の老齢厚生年金の場合と同じです。

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65歳から支給される老齢厚生年金

65歳からの老齢厚生年金は、次の計算式となります。

 

・老齢厚生年金の計算式

老齢厚生年金=報酬比例部分(+経過的加算+加給年金額)

注:加給年金額は、配偶者や子の年齢など、一定の要件が必要です。

 

経過的加算とは

65歳の前後で名称が変わりますが、一般的には支給される年金額は同じになります。

試験で出題された場合、計算式が与えられるので覚える必要はありません

 

・経過的加算額の計算式

例1の説明図

日本年金機構HP参照)

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在職老齢年金

在職老齢年金とは、60歳以降も厚生年金保険の加入者として働く場合の老齢厚生年金をいい、60歳以降に会社等から受け取る給与等に応じて老齢厚生年金の額が減額(もしくは支給停止)されます。

在職老齢年金は、「60歳代前半」「60歳代後半」および「70歳以上」ではしくみが異なります。

60歳代前半:在職老齢年金の計算式

60歳台前半の在職老齢年金の計算方法のフローチャート

・基本月額と総報酬月額相当額の合計額が28万円以下の場合
全額支給

・総報酬月額相当額が47万円以下で基本月額が28万円以下の場合 【計算方法1】
基本月額-(総報酬月額相当額+基本月額-28万円)÷2

・総報酬月額相当額が47万円以下で基本月額が28万円超の場合 【計算方法2】
基本月額-総報酬月額相当額÷2

・総報酬月額相当額が47万円超で基本月額が28万円以下の場合 【計算方法3】
基本月額-{(47万円+基本月額-28万円)÷2+(総報酬月額相当額-47万円)}

・総報酬月額相当額が47万円超で基本月額が28万円超の場合 【計算方法4】
基本月額-{47万円÷2+(総報酬月額相当額-47万円)}

 

60歳代後半:在職老齢年金の計算式

65歳以後の在職老齢年金の計算方法のフローチャート

・基本月額と総報酬月額相当額との合計が47万円以下の場合
全額支給

・基本月額と総報酬月額相当額との合計が47万円を超える場合
基本月額-(基本月額+総報酬月額相当額-47万円)÷2

日本年金機構HP参照)

 

70歳以上の人が在職している場合、60歳代後半と同様に老齢厚生年金額(加給年金額を除く)が調整されます。

なお、70歳以上の人は厚生年金保険の被保険者ではないので保険料の負担はありません。

 

加給年金

加給年金とは、年金の家族手当のようなもので、特別支給の老齢厚生年金(定額部分)または65歳からの老齢厚生年金の受給権者に、配偶者(65歳未満)または(18歳になって最初の3月31日までの子または障害等級1、2級の20歳未満の子)がある場合に支給される年金をいいます。

 

加給年金は、配偶者が65歳に到達すると支給が停止され、その代わりに配偶者の生年月日に応じた金額が配偶者の老齢基礎年金に加算されます。

これを「振替加算」といいます。

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離婚時の厚生年金分割制度

離婚当事者の婚姻期間中の厚生年金について、離婚当事者間で分割することが可能になります。

離婚時の厚生年金の分割制度は二段構えで導入されました。

分割されるのは保険料納付記録です。

 

合意分割制度

平成19年4月以降に離婚した場合、夫婦間の合意(または裁判所の決定)があれば、婚姻期間中の厚生年金(夫婦の報酬比例部分の合計)を分割することができます。

分割割合は夫婦で決めることができますが、上限は2分の1となります。

 

3号分割制度

平成20年5月以降に離婚した場合夫婦間の合意がなくても、平成20年4月以降の第3号被保険者期間について、第2号被保険者の厚生年金の2分の1を分割することができます。

 

まとめ:公的年金:老齢厚生年金の解説

今回のお話はいかがだったでしょうか?

公的年金の2階部分である老齢厚生年金について、お話してきました。

 

FP試験に出題される場合のポイントはこのようになります。

 

出題のポイント

①老齢厚生年金は、生年月日に応じて支給開始年齢や受給要件が変わってくる

②受給要件での厚生年金の加入期間が、「ア:特別支給の老齢厚生年金」と、「イ:老齢厚生年金」では「ア:1年」「イ:1ヶ月」

③受給開始年齢は受給パターンが変わる生年月日をおさえておく

④加給年金の受給案件は厚生年金保険の被保険者期間が「20年以上」という部分

⑤在職老齢年金は、大まかに、28万円(基本月額と総報酬月額相当額の合計)までは減額されない。

 

次回は「障害年金」について、お話していきたいと思います。

次回はこちらからどうぞ

公的年金:障害年金の解説【FP試験の独学勉強法】
公的年金の障害基礎年金・障害厚生年金について解説しています。

それでは! あくのえふぴー

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