公的年金:遺族年金の解説【FP試験の独学勉強法】

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FP3級のFP試験での遺族年金 遺族基礎年金・遺族厚生年金について解説しています。
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24-LifeDesign ファイナンシャルプランナー あくのえふぴーです。

 

前回は公的年金シリーズ「障害年金」について解説してきました。

 

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今回は怪我や病気で障害が残ったり、万一、死亡してしまった場合に、本人や残された家族の生活を保障する制度である「障害・遺族年金」の「遺族年金」について解説していきたいと思います。

 

「公的年金制度」はたいへん複雑な制度になっています。

老齢基礎年金」「老齢厚生年金」「障害・遺族年金」それぞれの基礎から解説していきたいと思います。

 

それではいきましょう!

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遺族年金とは

被保険者(年金加入者)または被保険者であった人(年金受給者)が死亡した場合の、遺族の生活保障として、「遺族基礎年金」や「遺族厚生年金」があります。

 

国民年金に加入している自営業者などの第1号被保険者が亡くなった場合、生計維持関係など一定の要件を満たす遺族に対して「遺族基礎年金」が支給されます。

遺族基礎年金以外に、「寡婦年金」や「死亡一時金」が受けられる制度もあります。

 

会社員や公務員などの第2号被保険者の場合、さらに「遺族厚生年金」が支給されます。

これら遺族年金などは、すべて非課税です。

 

遺族基礎年金

国民年金に加入している被保険者等が死亡した場合で、一定の要件を満たしているときは、遺族に「遺族基礎年金」が支給されます。

 

遺族基礎年金の受給要件

①国民年金の被保険者が加入中に死亡したとき

②日本に住所を有する国民年金の被保険者であった人が、60歳以上65歳未満で死亡したとき

③老齢基礎年金の受給権者のうち、保険料納付済期間(保険料免除期間を含む)が25年以上ある人が死亡したとき

④保険料納付済期間(保険料免除期間を含む)が25年以上ある人が死亡したとき

※①②の場合は障害年金の保険料納付要件の③と同じになります

 

遺族基礎年金を受給できる遺族

遺族基礎年金を受けられる遺族は、死亡した人と生計維持関係にあった子のある配偶者または子が対象になり、子のない配偶者は対象になりません。

 

①生計維持関係とは

死亡当時、死亡した人と生計を同じくしていた人で、年収850万円未満。

将来にわたって850万円以上の収入があると認められた人には支給されません。

 

②子とは

「年金上の子」のことです。18歳に達する日以後の最初の3月31日までをいいます。

ただし、障害等級1、2級の場合は、20歳未満となります。

 

③配偶者とは

法律上の妻や夫に限らず、事実上、婚姻関係と同様の内縁関係の配偶者も含まれます。

 

遺族基礎年金額

遺族基礎年金は、「子のある配偶者」と「」では年金額が異なりますが、いずれも定額の年金が支払われます。

 

①子がある配偶者が受ける遺族基礎年金額

配偶者 基本額 加算額 合計
子が1人 781,700円 224,900円 1,006,600円
子が2人 781,700円 449,800円 1,231,500円

 

②子が受ける遺族基礎年金額

基本額 加算額 合計
1人 781,700円 781,700円
2人 781,700円 224,900円 1,006,600円

 

※子が3人以上いるときは1人につき75,000円を加算します。

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遺族基礎年金の失権

遺族基礎年金を受給している人が、受給権を失権するのは次に該当したときです。

 

配偶者と子

死亡、結婚をしたとき、直系血(姻)族以外の養子になったとき

 

年金上の子でなくなったとき(18歳に達する日以後最初の3月31日を過ぎたときなど)、故人と離縁(養子でなくなった)になったとき

 

寡婦年金・死亡一時金

年金上の子がいない妻は遺族基礎年金が受給できず、夫が納めていた保険料がすべて掛け捨てになってしまいます。

そこで、国民年金の第1号被保険者には、遺族に対する独自給付として、「寡婦年金」「死亡一時金」の制度があります。

 

寡婦年金と死亡一時金の両方を受け取ることができる場合は、どちらか一方を選択することになります。

 

寡婦年金

国民年金の第1号被保険者として、老齢基礎年金の受給資格期間(10年以上)を満たしている夫が、年金(老齢基礎年金障害基礎年金)を受け取らずに死亡した場合に、一定の妻に支給される年金です。

 

ポイント

①寡婦年金を受給できるのは、夫と10年以上の婚姻期間があり、夫の死亡当時65歳未満である妻

②寡婦年金の受給期間は妻が60歳から65歳に達するまで

③妻が自分の老齢基礎年金を繰り上げ受給した場合には、寡婦年金は受給できない

 

死亡一時金

第1号被保険者として保険料を納付した期間が合計3年以上ある人が、年金を受け取らずに死亡し、遺族が遺族基礎年金を受け取ることができない場合に、一定の遺族に支給される年金

 

一定の遺族とは

死亡した人と生計を同じくしていた配偶者、子、父母、孫、祖父母、兄弟姉妹で、遺族基礎年金を受給できない人

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遺族厚生年金

第2号被保険者が死亡した場合で、一定の要件を満たしているときは、遺族は遺族基礎年金に「遺族厚生年金」を上乗せして受け取ることができます。

 

遺族厚生年金の受給要件

①厚生年金に加入中(在職中)の被保険者が死亡したとき

②被保険者であった期間に初診日のある人が、初診日から5年以内に死亡したとき

③1,2級の障害厚生年金の受給権者が死亡したとき

④老齢厚生年金受給権者または受給資格を満たした人のうち、保険料納付済期間(保険料免除期間を含む)が25年以上ある人が死亡したとき

 

保険料納付要件は、遺族基礎年金とほぼ同じです。

老齢厚生年金の受給権者、または受給資格を満たしている人が死亡した場合を「長期要件(受給要件①)」といい、その他の場合を「短期要件(受給要件①~③)」といいます。

長期要件と短期要件では、遺族厚生年金の計算が異なります。

 

遺族厚生年金を受給できる遺族の範囲

遺族厚生年金は、遺族基礎年金とは別に支給されます。

死亡したときに生計維持関係があったことが条件になります。

 

受給できる遺族の範囲 死亡した人に生計を維持されていた

①妻・夫・子 ②父母 ③孫 ④祖父母 の順

※夫、父母、祖父母が受給者となる場合、55歳以上であることが要件。

また年金を受け取れるのは60歳からとなる

 

遺族厚生年金の支給額

遺族厚生年金額は短期要件、長期要件いずれの場合でも、老齢厚生年金(報酬比例部分相当)と同様に、死亡した人の厚生年金加入期間中の報酬レベルや加入月数を基準に計算します。

ただし、乗率や加入月数については、短期要件と長期要件では取扱いが異なります。

 

短期要件の場合、乗率は生年月日にかかわらず一律で、加入月数が300月(25年)に満たない場合は300月(25年)で計算します。

長期要件の場合、乗率は生年月日に応じて異なり、加入月数については実際の加入月数で計算します。

 

遺族厚生年金は、亡くなった人が生きていた場合に支給されるはずであった老齢厚生年金(報酬比例部分相当)の4分の3になることがポイントです。

 

・遺族厚生年金の計算式

報酬比例部分の年金額図(本来水準)

日本年金機構HP参照)

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中高齢寡婦加算

遺族厚生年金を受給する遺族である妻には、40歳から65歳に達するまでの間、遺族厚生年金に「中高齢寡婦加算」が加算されます(令和2年度の年金額で586,300円)。

 

ただし、夫の死亡当時、妻の年齢が40歳以上65歳未満(子がいる場合は、子が18歳の年度末に達したときに40歳以上65歳未満)であることが条件となります。

また、妻が遺族基礎年金を受給している間は、中高齢寡婦加算は支給停止となり、加算されません。

 

中高齢寡婦加算の要件

①厚生年金保険の被保険者である夫が死亡したとき

②夫が厚生年金保険の被保険者期間中初診日があり、5年以内に死亡したとき

③1,2級の障害厚生年金の受給権者である夫が死亡したとき

④厚生年金保険の被保険者期間が20年以上ある夫が死亡したとき

 

経過的寡婦加算

妻が65歳になると自分の老齢基礎年金が受けられるため、中高齢寡婦加算は支給されなくなり年金額が減ってしまいます。

 

そこで、昭和31年4月1日以前生まれの人に限っては、一定の老齢基礎年金の水準を保つために、中高齢寡婦加算に代えて「経過的寡婦加算」が、遺族厚生年金に加算されます。

経過的寡婦加算の額は、妻の生年月日に応じて異なります。

 

遺族厚生年金の失権

遺族厚生年金を受給している人が、受給権を失権するのは次に該当する場合です。

 

①死亡したとき

②結婚をしたとき

③直系血(姻)族以外の養子になったとき

④故人と離縁になったとき

⑤年金上の子、孫(18歳の年度末まで、または20歳未満の障害等級1、2級)でなくなったとき

 

労災保険の給付と調整

業務上や通勤途上の災害などで死亡した場合で、労災保険の遺族(補償)給付を受ける場合には、遺族厚生年金も同時に受給できますが、労災保険の遺族(補償)給付が「減額調整」されます。

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公的年金の併給調整

1人の人が複数の年金受給者となる場合には、いずれか1つの年金を選択しなければいけません。

これを「併給調整」といいます。

 

ただし、老齢基礎年金と老齢厚生年金など、同種の基礎年金と報酬比例の年金(厚生年金)はともに受け取ることができます。

また、遺族厚生年金と老齢基礎年金の併給など、いくつか例外も認められています。

 

併給できる組み合わせ

 

老齢基礎年金 障害基礎年金 遺族基礎年金
老齢厚生年金 併給可能〇 例外的に併給可能△ 併給不可✕
障害厚生年金 併給不可✕ 併給可能〇 併給不可✕
遺族厚生年金 例外的に併給可能△ 例外的に併給可能△ 併給可能〇

 

その他①:65歳以上の場合、「遺族厚生年金」&「老齢厚生年金」の併給も可能

 

その他①の併給調整

65歳以降の遺族厚生年金と老齢厚生年金の併給については、次のように調整されます。

 

併給調整後の遺族厚生年金額 = 

アとイのうちいずれか多い額 ー 本人の老齢厚生年金額

 

ア=遺族厚生年金額

イ=遺族厚生年金額×3分の2+本人の老齢厚生年金額×2分の1

 

雇用保険との併給調整

老齢給付と雇用保険給付の両方が受給できるようになった場合、以下のような併給調整があります。

 

特別支給の老齢厚生年金と

雇用保険の基本手当

雇用保険の基本手当を受給している間は、

特別支給の老齢厚生年金は全額支給停止

在職老齢年金と雇用保険の

高年齢雇用継続給付

在職老齢年金額が標準報酬月額に応じて減額

 

まとめ:公的年金:遺族年金の解説

今回のお話はいかがだったでしょうか?

「障害・遺族年金」の中の「遺族年金」について、お話してきました。

 

FP試験に出題される場合のポイントはこのようになります。

 

出題のポイント

①遺族基礎年金を受けられる遺族は、生計を維持されていた子のある配偶者、または子が対象。

②第1号被保険者には、独自給付として寡婦年金、死亡一時金がある。

③寡婦年金は60歳にならないと受給できないが、死亡一時金はすぐ受給できる。

④遺族厚生年金を受けられる遺族は、生計を維持されていた配偶者、子、父母、孫、祖父母。

⑤中高齢寡婦加算は、40歳から65歳に達するまで支給される。

⑥65歳以上で遺族厚生年金を受給する場合は、特例として老齢基礎年金と併給でき、3つの選択肢の中から1つを選ぶことができる。

 

遺族年金はFP試験でもよく出題されます。

しっかり勉強しましょう!

 

次回は「その他の年金」について、お話していきたいと思います。

次回はこちらからどうぞ

公的年金以外の年金 企業年金の解説【FP試験の独学勉強法】
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それでは! あくのえふぴー

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