24-LifeDesign ファイナンシャルプランナー あくのえふぴーです。
前回まで、「公的年金」シリーズとして数回に分けて解説してきました。
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老後の生活を保障する年金には、公的年金以外に私的年金として、いろいろな制度があります。
公的な年金を補完するものとして、企業が設ける「企業年金」や個人が任意で加入できる「いろいろな個人年金」などです。
今回は「公的年金以外の年金制度」である、「企業年金」について解説していきたいと思います。
それではいきましょう!
企業年金制度
「企業年金」とは、各企業が従業員の老後の所得保障を目的に、任意で設けられている年金制度です。
企業年金のタイプには、「確定給付型」と「確定拠出型」の2タイプがあり、それぞれ解説していきたいと思います。
確定給付型企業年金
「確定給付型」とは、将来支払われる年金の額があらかじめ決まっているタイプの年金制度といい、「①厚生年金基金」や「②確定給付企業年金」があります。
①厚生年金基金
「厚生年金基金」は、厚生年金保険法によって設立が認められた特別法人で、設立企業の従業員は、厚生年金保険の被保険者であると同時に、厚生年金基金の加入者になります。
老齢厚生年金の給付の一部を国に代わって支給し、さらに企業が独自で上乗せして支給します。
しかし、運用難のため代行部分を返上し、解散する厚生年金基金が増加しているため、平成26年4月以降、厚生年金基金の新設が認められなくなっています。
給付と運用
国に代わって支給する老齢厚生年金の代行部分に、独自の上乗せ給付である加算部分を加算し、国が行う給付水準を上回るようにすることが義務付けられています。
年金は確定給付型の年金制度で、年金資産は、信託銀行や生命保険会社、投資顧問会社などが運用しています。
税金などの取扱い
事業主が負担する掛金は「全額損金算入扱い」となり、加入者である従業員が負担した掛金は「社会保険料控除」の対象となります。
年金を受け取るときは、公的年金等控除が受けられ「雑所得」扱いになり、一時金として受け取る場合は「退職所得」扱いになります。
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②確定給付企業年金
「確定給付企業年金」とは、従業員に対して、あらかじめ決められた年金額を退職後に支払う確定給付型の年金制度で、
「規約型企業年金」と「基金型企業年金」の2つがあります。
規約型・基金型 それぞれの形態と掛金
両方とも労使合意に基づいて規約を作成します。
「規約型」は「厚生労働大臣」から規約についての承認を受け、
「基金型」では基金設立についての認可を受けます。
掛金は原則、事業主負担ですが、2分の1を超えない範囲で従業員の拠出(きょしゅつ)も認められています。
給付金の種類
「老齢給付金」「障害給付金」「遺族給付金」の3つがあります。
老齢給付金は、原則60歳から65歳までに支給開始し、終身または5年以上にわたって給付され、全部または一部を一時金として受け取ることも可能です。
税金などの取扱い
事業主が負担する掛金は「全額損金算入扱い」となり、加入者である従業員が負担した掛金は「社会保険料控除」の対象となります。
年金を受け取るときは、公的年金等控除が受けられ「雑所得」扱いになり、一時金として受け取る場合は「退職所得」扱いになります。
ここは「厚生年金基金」と共通していて、さらに「障害給付金」は非課税、「遺族給付金」は相続税の対象となります。
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確定拠出型年金(企業型・個人型)
確定拠出年金とは、一定の掛金を加入者が拠出・運用し、その運用成績に応じた年金や退職金が受け取れることです。
加入者が運用の対象商品を選択し、自己責任で運用しますので、どう運用するかは、加入者の判断にゆだねられます。
「確定拠出型」には、企業が掛金を負担する「①企業型」と、企業年金制度のない従業員や自営業者など加入者が掛金を負担する「②個人型」の2つがあります。
①企業型確定拠出年金
加入対象者と掛金
加入者対象者は企業型年金を実施する企業の原則60歳未満の従業員ですが、規約に定めることにより65歳未満の従業員等まで加入できます。
企業型の掛金は、事業主が規約に基づいて拠出します。
また、事業主が拠出する掛金に加えて、加入者が掛金を拠出することができ、これを「マッチング拠出」といいます。
・企業型の拠出限度額
確定拠出年金以外の企業年金がない企業の従業員 年額66万円(月額 5,5万円) 確定拠出年金以外の企業年金がある企業の従業員 年額33万円(月額 2,75万円)
②個人型(iDeCoイデコ)確定拠出年金
加入対象者と掛金
加入対象者は、60歳未満の自営業者等の国民年金の第1号被保険者と企業年金を導入していない企業の60歳未満の従業員、第3号被保険者、公務員、企業年金加入者も個人型に加入できます。
iDeCo イデコについて詳しくはこちら
iDeCo(イデコ)について知ろう!【投資のススメ3】iDeCo(イデコ)について詳しく解説しています。 iDeCo(イデコ)つみたてNISAを比較しよう【投資のススメ4】iDeCo(イデコ)つみたてNISAについて解説、比較しています。
①・② 運用
企業または加入者が拠出した掛金による年金資産は、加入者自らが運営管理機関に対して運用指図を行います。
その運用実績により将来の年金額が決まるため、運用リスクは加入者本人が負うことになります。
給付の種類
企業型・個人型とも受給要件は同じです。
給付の種類は、「老齢給付金」「障害給付金」「死亡一時金」があります。
「老齢給付金」は加入期間が10年以上あれば60歳から受給開始が可能で、また規約で定めた場合は、全部または一部を一時金として受け取ることができます。
原則として途中引き出しはできません。
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税金の取扱い
事業主が負担した掛金は「全額損金算入扱い」加入者負担の掛金は、
全額所得控除「小規模企業共済等掛金控除」の対象です。
また、運用益に対しても非課税のため、年金の給付を受けるまで、「課税の繰り延べ効果」が期待できます。
給付時の老齢給付金は、「公的年金等控除」が受けられ「雑所得」扱いになり、一時金として受け取る場合は「退職所得」扱いになります。
障害給付金は非課税、死亡一時金は相続税の対象です。
転職・退職した場合の年金資産の移換
確定拠出年金の大きなメリットは、勤務先が変わっても転職先に確定拠出年金制度があれば、加入者の申請に基づいて資産を移換して、引き続き年金資産を運用していくことができます。
また、会社を辞めて自営業者になっても、個人型の確定拠出年金に資産を移換して運用していくことができます。(ポータビリティ)
まとめ:公的年金以外の年金 企業年金の解説
今回のお話はいかがだったでしょうか?
公的年金以外の年金制度である、「企業年金」についてお話してきました。
FP試験に出題される場合のポイントはこのようになります。
・出題のポイント
①企業年金には、「確定給付型」と「確定拠出型」がある。
②「確定給付型」は企業などが実施する年金制度で、資産運用のリスクは企業が負う。
③「確定拠出型」は加入者が自己責任で運用を行い、リスクや将来の金利変動などのリスクを負う。
④転職の際に年金原資を次の企業などに持ち運びができる(ポータビリティ)。
⑤積み立てる掛金や運用益は、年金が給付されるまで「非課税」で運用できる。
特に「確定拠出年金」はFP試験でもよく出題されます。
しっかり勉強しましょう!
次回は「いろいろな個人年金」について、お話していきたいと思います。
次回はこちらからどうぞ
公的年金以外の年金 いろいろな個人年金の解説【FP試験の独学勉強法】公的年金以外の年金制度である、中退共・小規模企業共済・国民年金基金・個人年金保険・財形年金貯蓄について解説しています。FP試験・FP3級
それでは! あくのえふぴー
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