24-LifeDesign ファイナンシャルプランナー あくのえふぴーです。
前回まで続いてきた「年金」シリーズですが、今回でシリーズ最終回です。
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老後の生活を保障する年金には、公的年金以外に私的年金として、いろいろな制度があります。
公的な年金を補完するものとして、企業が設ける「企業年金」や個人が任意で加入できる「いろいろな個人年金」などです。
今回は「公的年金以外の年金制度」である、「いろいろな個人年金」の解説していきたいと思います。
それではいきましょう!
いろいろな個人年金制度
公的年金を補完するものとして、「企業年金制度」のほかに、
「①中小企業退職金共済制度」※個人事業主も可
「②小規模企業共済」※上に同じ
「③国民年金基金」※第1号被保険者向け
「④個人年金保険」※金融商品の私的年金
「⑤財形年金貯蓄」※制度を導入している企業の従業員
などいろいろな個人年金制度があり、これまで解説した国民年金の「1階部分」厚生年金保険の「2階部分」にあわせて、これらの年金は「3階部分」になります。
①から⑤までそれぞれお話していきたいと思います。
①中小企業退職金共済制度(中退共)
「中小企業退職金共済制度」は、独自の退職金制度を持つことができない中小企業に代わって、「勤労者退職金共済機構」がその運営を引き受けている制度で、従業員だけが加入できる制度です。
加入要件
小売業で従業員50人以下、卸売業で100人以下など規模の小さい中小企業を対象にしています。
従業員は全員加入が原則で、役員や事業主、その配偶者は加入できません。
事業主と生計を一にする同居の親族は、事業主と使用従属関係が認められる場合は加入可。
国の助成と掛金について
掛金は、月額5,000円から30,000円まであり、「全額事業主が負担」します。
国は中退共に加入する事業主に対して、掛金の2分の1を1年間助成します。
掛金を増額する場合にも、一定範囲の増額分の3分の1について1年間の助成があります。
税金の取扱い
掛金は「全額損金算入扱い(個人事業主は必要経費扱い)」になります。
従業員は、退職一時金で受け取れば「退職所得」扱いとなり、年金は公的年金等控除が受けられ「雑所得」扱いになります。
中退共のほか、市町村や商工会議所などが、特定退職共済団体などを設立している「特定退職金共済制度(特退共)」などもあり、制度の内容は中退共とほぼ同じです。
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②小規模企業共済
「小規模企業共済」は、従業員20人以下の比較的小規模な事業をしている事業主および共同経営者や会社役員のための退職金制度で、給付内容も「事業の廃止」「解散」「役員等の負傷」「死亡」「役員の任意退職」など、小規模な事業者にとって、使いやすいシステムになっています。
掛金・共済金の支払い
毎月の掛金は、月額1,000円から70,000円まで500円きざみで掛けられ、一定の理由があれば減額も可能です。
給付内容は、「一時払い」「分割払い」などで受けられるしくみになっています。
年齢が65歳以上で、掛金を15年以上納付した人であれば「老齢給付」を受けられます。
税金の取扱い
掛金は、全額「小規模企業共済等掛金控除」の対象となり、年金は公的年金等控除を受けられ「雑所得」扱いになり、一時金は「退職所得」扱いになります。
遺族に対する共済金は「相続税」の対象となります。
③国民年金基金
「国民年金基金」は、自営業者の老後の所得保障と、厚生年金保険などとの年金格差を是正する目的で作られた第1号被保険者向けの上乗せ年金制度です。
国民年金基金には、「地域型」と「職能型」の2つの形態があります。
「地域型」は、同じ都道府県に住んでいる人で組織され、各都道府県に1基金ずつ設立されています。
「職能型」は、同種の事業や業務に従事する人で組織され、同業者で全国に1基金ずつ設立されています。
加入条件と掛金
加入できるのは、国民年金の保険料を納めている人で、自営業者など「第1号被保険者」です。
加入後は原則として脱退できません。
また、国民年金の保険料を滞納している人や、国民年金の付加保険料(付加年金)を掛けている人は加入できません。
掛金は、加入したときの年齢や男女の別、選択した形態によって違います。
掛金の上限は月額68,000円で全額「社会保険料控除」の対象になります。
給付設計
加入者は、終身年金と確定年金から選ぶことになります。
ただし、必ず「1口目は終身年金」とし、希望に応じて2口目以降も入れます。
2口目以降は、2種類の終身年金と5種類の確定年金の、計7種類から選ぶことになります。
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④個人年金保険
公的年金に対して、民間の保険会社などが取り扱う金融商品のうち、個人年金保険などを「私的年金」といいます。
老後の生活資金は公的年金が中心となりますが、私的年金により自助努力で公的年金を補完することも選択肢として考えられます。
個人年金保険には、一生涯受け取ることができる「終身年金」、一定期間受け取ることができる「確定年金」や「有期年金」、夫婦のいずれかが生きていれば受け取ることができる「夫婦年金」があります。
また、運用実績に基づいて年金額などが変動する変額個人年金もあります。
一定要件を満たした契約の場合、保険料が「生命保険料控除」の対象となります。
⑤財形年金貯蓄
「財形年金貯蓄」は、老後に年金として受け取るために行う積立貯蓄です。
財形年金貯蓄の特徴は、年金資金を目的に給与天引きで積立を行えば、「利息が非課税」になるというメリットがあり、受け取る年金も課税対象とはなりません。
財形年金貯蓄を利用できるのは、事業主が財形貯蓄制度を導入している企業の55歳未満の従業員に限定されます。
財形年金貯蓄では、預貯金等で積立を行う「貯蓄型」と、保険商品等で積立を行う「保険型」があります。
「貯蓄型」の場合、財形住宅貯蓄と合算して550万円まで、
「保険型」は払込保険料累計額385万円まで、かつ財形住宅貯蓄と合算して550万円まで利息が非課税となります。
まとめ:公的年金以外の年金 いろいろな個人年金の解説
今回のお話はいかがだったでしょうか?
公的年金以外の年金制度である、「いろいろな個人年金」についてお話してきました。
FP試験に出題される場合のポイントはこのようになります。
・出題のポイント
①中小企業退職金共済制度・小規模企業共済・国民年金基金は年金制度の「3階部分」
②中小企業退職金共済制度の「加入要件」「掛金の負担」「税金」
③それぞれの制度の「税金の取扱い」の控除の種類
特に「それぞれの控除の種類」はFP試験でもよく出題されます。
しっかり勉強しましょう!
今回で「年金制度」についての解説は終了です。お疲れ様でした。
次回は「年金制度」について、まとめた記事にしていきたいと思います。
それでは! あくのえふぴー
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